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F1速報1990年創刊号 第6戦メキシコGP号

F1速報テスト情報号でぱどくらで予告したとおり、今回はF1速報の創刊号である1990年第6戦メキシコGP号からレースレポートを掲載します。今季、1990年シーズンと同様に無給油レギュレーションがスタート。今季のレースを占う上でもぜひ読んでほしい!

F1速報1990年創刊号 第6戦メキシコGP号

創刊号 90年メキシコGPレースレポート

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創刊号 90年メキシコGPレースレポート

マクラーレン・ホンダの優位は、あっけなくひっくり返った。セナは終盤までトップを快走するも、2台のフェラーリにあいついで抜かれ、6周を残してタイヤバーストでストップ。フェラーリが2年ぶりの1-2フィニッシュを決めた


暗雲立ちのぼる決勝日の試走

日曜日、空は朝から暑く雲に覆われていた。気温もあまり上がっていない。グランプリ初日の金曜日とほとんど同じような状況だ。9時30分からウォームアップセッション開始直前にセナの通算100戦出場記念の撮影会が、ピット前で行われた。が、その和やかなムードとは裏腹に、各チームとも難しい状況をいかに自分たちに有利に運ぶかで、かなり神経質になっていた。チャンスはたった30分しかない。フルタンク、レース用セット、そしていちばん難しいタイヤの選択など、やるべきことはあり余るくらいだった。

そんなセッションのスタートの直後、約5分が経過したとき、突然、最終コーナーから飛び出した犬が、ピット前ストレートを走り出した。グルイヤールが危うく衝突しそうになったが、なんとかこれをかわしている。このおかげで、セッションは10分間中断。

結果的にこのセッションを制したのはマクラーレン・ホンダの2台だ。セナは、セッション終了直前に2番手にジャンプアップ。とりあえずマクラーレンが1-2を取ったものの、まったく予断を許さない状況だと、ロン・デニスは次のように語っている。

「このレースはかなりの妥協をしなければならない。マシンは徐々に速くはなっているが、われわれに今必要なのは、遅いクルマをパスするためのストレートスピードだ。それにはダウンフォースを減らさなければならないが、そうするとコーナーでのグリップ力が落ち、ダイヤの温度も上がってしまう。当然、タイヤは交換したくないからね」

フェラーリの2台は、ともにダウンフォースを小さくしたレースセットをトライし、ともにスピンを喫している。幸いマシンにダメージはなかったが、タイムは伸びていない。

このレースの最大の焦点は、やはりタイヤ選択と、天候だ。タイヤに関してグッドイヤー側の見解は、「この気温ならCタイヤでノンストップという選択でたぶん大丈夫」というもの。ピレリ側は、ソフトタイプで走る者がほとんどだろう。タイヤに関しては、グッドイヤー、ピレリともに「レースがはじまってみないとなんとも言えない」という状況だ。天気予報は、「2時頃には雨が降る」。



序盤、独走態勢を築くマクラーレン・ホンダ

スタート時刻の2時が迫ると、予想外にも日がさしてきた。結局、グッドイヤー勢はマクラーレン、フェラーリ、ベネトンが4輪ともソフトなCタイヤを、ウイリアムズが4輪ともミディアムのBタイヤを選択。ピレリ勢は、ティレルが右側にソフトタイプ、左側にミディアムタイプという組み合わせを、ミナルディは4輪ともソフトタイプを選んでグリッドについている。

各車、ピットを出てグリッドにつく間にアクシデントが起こった。アレジがスピンしてしまったのだ。アレジはマシンを捨て、ピットに戻りスペアカーで再びグリッドについている。

午後2時定刻どおり、フォーメーションラップがはじまた。そしてシグナルブルー。全戦のカナダGPでフライングを取られたベルガーは、ポールからのスタートというプレッシャーもあってか、完全に出遅れてしまった。トップで第1コーナーに入ったのは、パトレーゼだ。続いてセナ、ベルガー、ブーツェン、ピケ、そしてマンセルの順で第1コーナーを通過する。

しかし、よりソフトなタイヤとエンジンパワーに勝るセナは、オープニングラップ終了直前にパトレーゼをかわし、ベルガーもこれに続いて2周目の第1コーナーで2位に上がった。早くも2周目にして、マクラーレン・ホンダの1-2態勢ができあがったわけだ。

予選9番手からスタートした中嶋は、オープニングラップで接触、スピンし、24番手まで順位を落してしまった。

マクラーレンの2台は、3位以下を大きく引き離しにかかる。3位に落ちたパトレーゼは、3周目にピケにかわされ4位に転落。この時点で、ピケと2位ベルガーの差は約6秒に広がっていた。そしてトップのセナは、さらに約2秒先を走っていたのだ。セナの独走はさらに続き、10周目終了時点では2位ベルガーに約6秒の差をつけている。予想どおり、完全にレースはマクラーレン・ホンダのものと思われた。



亜久里と中嶋が接触!

鈴木亜久里は好スタートをきり、10周を過ぎることには13位にまでポジションを上げていた。一方の中嶋も徐々に順位をばん回し、10周終了時点で18位に上がっている。ところが、こともあろうか、このふたりの日本人ドライバー同士が追突してしまった。

「5周目くらいから、左リヤタイヤがおかしくなってきた。で、タイヤを換えるためにピットに戻ろうと思ってラインを空けてスロー走行していたら、中嶋さんが後ろからぶつかってきたんだ」と亜久里。

一方の中嶋は「空けるならちゃんと空けなくちゃ」「まぁ、今日は残念賞だね」

結局2台はコースアウトし、そのままリタイアとなっている。

接触事故のあった次の周、2位を走っていたベルガーがピットに滑り込んできた。

「左フロントタイヤのバランスがおかしくなったので、早めにピットに入ったんだ」とベルガー。この作業のため、ベルガーは12位まで順位を落した。かわった2位に上がったのはピケである。この時点で、トップのセナと2位ピケの差は13秒以上開いていた。



ウイリアムズ脱落、フェラーリ浮上!

硬めのタイヤでスタートしたウイリアムズの2台は、序盤のハイペースによって完全にタイヤのバランスをくずしてしまった。

「はじめからタイヤはグリップしないし、ブレーキもおかしかった。何回もスピンしそうになったよ」ブーツェン。いっぽうのパトレーゼも、「はじめのBタイヤは、まったくグリップしてくれなくて、(41周目に)交換したCタイヤはよかったんだけど、もうそのときは遅かったね」と語っている。

ペースをあげられないウイリアムズとは対照的に、フェラーリの2台はグングンとハイペースでポジションをあげていた。13位からスタートし、スタート直後の第1コーナーでは15位だったプロストは、徐々に順位を上げてきた。そして31周終了時点では、ブーツェンをかわしセナ、ピケ、マンセルに次ぐ4位となっている。

当初、前をゆくマンセルとの差は6秒以上あった。が、タイヤを傷めペースの落ちたピケを37周目にマンセルがかわすと、プロストのペースも上がり、42周目にはプロストもピケをかわし3位に浮上した。

この時点で、トップのセナとマンセルの差は約18秒。そしてマンセルとプロストの差は6.5秒。その後ろにはタイヤ交換のためにピットインしたピケに代わってナニーニが4位に上がっていた。セナと3位プロストとの差は20秒以上開いていたのだ。

そしてもうひとり、必至の追い上げで12位から8位までに上がってきたドライバーがいた。ベルガーだ。



セナを襲ったタイヤトラブル

レースも残り25周ころ、2、3位を行くフェラーリは歴然とペースを上げてきた。プロストは次々と最速ラップを更新。6秒以上あったマンセルとの差をわずか5周足らずで1秒以下に縮め、51周終了時点では完全にマンセルの背後についた。セナとマンセルの差も目に見えてつまっている。セナのペースが落ちているのだ。

そのときセナは、異常な挙動を示すリアタイヤと必死に格闘していた。無線でピットインしたいと言ったが、ピットからの指示は、「とりあえず、そのまま走れ」だった。ピットではロン・デニスが迷っていた。2位マンセルとの差は約14秒。残りは25周。そのうちにセナのペースは落ち、マンセルとの差はアッという間に縮まってしまう。

そんなセナの後方では、フェラーリ同士が激しい2位争いを展開していた。激しくマンセルを背後から攻めるプロストはついに55周目、第1コーナーでマンセルをとらえ、2位に浮上。その時点でセナとの差は約8秒あったが、ペースの落ちたセナとペースを上げたプロストでは勝負は決まっている。58周目、このレースの最速ラップである1分17秒958を出したプロストは、もうすでにセナを射程距離にとらえていた。プロストの背後には、マンセルもピッタリとついている。

レースも終盤、61周目の第1コーナーで、プロストがセナをかわしてトップへ。次周、同じ場所でマンセルがセナをかわして2位に上がり、フェラーリの1-2態勢となった。ちょうどセナが3位に落ちたのと同時に、必死に追い上げてきたベルガーがナニーニをかわし、4位になっている。

セナにとって悲劇的な幕切れは、64周目にやってきた。ついに右リヤタイヤがバーストしてしまったのだ。バラバラになった後輪を引きずるようにして、セナはゆっくりとピットに戻り、マシンから降りた。

「ボクの失敗は、自分自身でピットに入る決断をしなかったことだ」とセナ。やはり、ベルガー同様、序盤にペースを上げすぎたことでスローパンクチャーを起こしてしまっていたのだ。

セナのリタイアによってベルガーが3位になった。1位プロストと2位マンセルの差は、マンセルのスピンによって20秒以上開いてしまったが、逆にマンセルとベルガーの差は、4秒にまでつまっていた。レースは残り5周を切っている。

61周目、マンセルの背後についていたベルガーは、強引に第1コーナーでマンセルのインを突いた。

接触スレスレの危ういシーンだったが、ベルガーは2位に浮上。しかしストレートスピードに勝るマンセルは次周に再び2位を奪い返している。

「ストレートスピードが遅かったので、マンセルとのバトルではコーナーを全開でいくしかなかった。1度はうまくいったけど、2度目はね……」とベルガー。結局、ベルガーは再び2位には上がれず、マンセルの0.18秒後にチェッカーを受けた。すでにその約25秒も前に、プロストは勝利をものにしていたのだった。

「予選セットはひどかったから、はじめからレースセットに専念したのがいちばんの勝因だろう」とプロストは語っている。

「2位は獲れたレースだったね」。ホンダの後藤監督はレース後に言った。ベルガーが最後、もう1周ガマンして最終ラップでマンセルをかわせば、そしてセナが異常を訴えた時点でピットインさせていれば、どちらの場合も2位にはなれた、という意味だろう。

予選セッション2日間の流れは、決勝になったとたん、180度変わってしまった。メキシコの勝利の女神は、フェラーリに微笑みたかったようだ。

F1速報 2010年 開幕直前号

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